「胸がしめつけられる感じがする」
「胸がチクチクする」
「胸がズキズキする」
皆様には、上記のような胸の症状はありませんでしょうか?
胸が痛む場合は、様々な病気が考えられます。胸の痛みをひき起こすものの中には、心臓病などの命に関わる病気が原因のケースも。
目次
■胸の痛み方・考えられる病気 何科で診察を受ければイイ?
胸の痛み(胸に近い部分の痛みを含む)は、大きく以下の3つの部分の痛みに分けられます。
◎胸の表面に近い場所の痛み(皮膚や肋骨まわり)
胸の皮膚や肋骨のあたりでチクチク・ズキズキと痛みを感じる場合は、肋骨・乳房(特に女性)・胸の皮膚などの病気が考えられます。
[胸の痛み方、考えられる主な病気]
胸の痛み方
- 肋骨がズキズキする
- 胸の皮膚や胸の表面付近がチクチクする(電気が走るようなチクチク感)
- 胸の表面付近に刺すような痛みがある
考えられる主な病気
- 肋間神経痛:肋骨に沿って走る肋間神経が刺激・圧迫されることで、胸や背中、脇腹に生じる神経性の痛みです。外傷・ストレス・ウイルス感染・脊椎の疾患などが主な原因と考えられています。
- 肋軟骨炎(ろくなんこつえん): 肋骨と胸骨(胸の中央の骨)をつなぐ軟骨部分に炎症が起きることで生じる痛みです。押すと痛みが強くなることがあります。
- 肋骨骨折:肋骨(あばら骨)が折れた状態を指します。肋骨に亀裂(ヒビ)が入った程度の骨折でも、呼吸時などにあばら骨周辺に痛みを感じることも。打撲などの怪我でなくても咳によって骨折が起こることもあります。
- 帯状疱疹:水痘・帯状疱疹ウイルスによってひき起こされる感染症の一種です。皮膚に水ぶくれが生じるほか、多くの場合、身体の片側にピリピリとした痛みを感じます。
- 乳腺の病気
- 乳腺症:30~40代の女性に比較的多く見られる、女性ホルモンの影響による乳腺の良性の変化です。乳房のしこりや痛みなどを伴うことがありますが、良性の変化のため、経過観察が基本のケアになります。
- 乳腺炎:乳腺に炎症が起きる病気です。赤ちゃんへの授乳中に起きることが多いですが、授乳経験のない方でも発症する場合があります。乳房の痛み・腫れ、発熱、全身のだるさなどの症状を伴うことも。
診療科目
内科、皮膚科、乳腺外来
{乳がんで胸の痛みを感じるケース少ない}
胸の表面付近が痛むとき、乳がんを心配される方もいらっしゃるかと思いますが、乳がんで胸の痛みを訴える方は少ないです。
セルフチェックで胸の「しこり」を見つけたことで、受診後に乳がんだと診断される場合が多いです。
※胸に痛みを感じる場合もあります。
◎胸の奥のほうで感じる痛み
胸の奥のほうで痛みを感じる場合は、原因としては心疾患、肺疾患などが考えられます。
[胸の痛み方、考えられる主な病気]
胸の痛み方
- 胸の深いところがしめつけられるような強い痛みがある
- 胸の深いところが焼けつくような強い痛みがある
- 背中が裂けるような強い痛みがある
- 息を吸ったときに胸に鋭い痛みを感じる
- 息苦しい(呼吸しにくい)
- 15分以上、胸の強い痛みや息苦しさが続く
考えられる主な病気
- 心筋梗塞・狭心症:心臓の栄養血管である冠動脈が狭くなったり詰まったりすることで、心臓に十分な血液が送られなくなる病気です。胸の痛みとともに、動悸や息苦しさを伴うことがあります。特に労作時に症状が出やすいのが特徴です。
- 大動脈解離:大動脈(心臓から全身に血液を送る大きな動脈)の壁の亀裂に血液が流れ込み、大動脈内に2つの通り道ができた状態を指します。胸の激しい痛みや背中の強い痛みの症状が多く、大動脈解離を発症した場合は命に関わることも少なくありません。高血圧、ストレス、喫煙、糖尿病、動脈硬化、遺伝など、様々な因子が大動脈解離の発症に関係しているとされています。
- 気胸:肺に穴が開き、肺から漏れた空気が胸の空間(胸腔)にたまり肺がしぼんでしまう病気のことです。
- 肺塞栓症(エコノミークラス症候群):長時間、同じ姿勢で座った状態が続き、足の静脈に血栓ができた状態です。足の静脈の血栓が血液に乗って肺に移動することで、肺塞栓症がひき起こされます。突然の胸痛、足のむくみ、冷や汗、動悸などの症状が現れることが多いです。重症の場合は意識障害・失神などが起きることがあるほか、心停止に至るケースも。
診療科目
内科、循環器内科、呼吸器内科
{胸の深いところの急激な痛み・強い痛みは命に関わることも}
上記のような急激な痛みや耐え難い痛みがある場合は、救急車を呼ぶことも検討します。
胸の深いところの急激な痛み・強い痛みは心臓病や大動脈解離などが原因の場合も多く、命に関わることもあります。
◎胸かどうか分かりにくい痛み
肺疾患・胃腸の病気(消化器系疾患)やストレスによる心因性の病気では、胸・胸以外(胃のあたりなど)など、どこの痛みなのかが見分けにくいことも。
[胸の痛み方、考えられる主な病気]
胸の痛み方
- 強い不安を伴う胸の痛みがある、呼吸困難感がある。
- 胃や胸の下(みぞおち)が焼けつくような熱さを感じる
考えられる主な病気
- 逆流性食道炎:胃酸(または胃の内容物)が逆流し、食道に炎症が起きる病気です。胸やけ、呑酸(どんさん:すっぱい液体(胃液)がこみ上げてくる)、胸やみぞおちの痛みなどの症状を伴うことが多いです。
- 胃炎・胃潰瘍: 胃の炎症や潰瘍も、みぞおちの痛みとして感じられることがありますが、時には胸の痛みとして感じることもあります。
- パニック障害:特定の理由がなく、突然、恐怖感や激しい不安(パニック発作)に襲われる病気です。めまい、手足のふるえ、冷や汗、吐き気、窒息感(息苦しい)、呼吸困難、胸痛などの症状を伴うケースがあります。
- 過換気症候群:精神的な不安やストレスが引き金となり、過呼吸(呼吸のしすぎ)になることで、血液中の二酸化炭素濃度が低下し、胸の苦しさ、手足のしびれ、めまいなどを引き起こします
診療科目
消化器内科、心療内科・精神科
【早めの受診&検査で適切な治療計画を立てやすくなります】
さなげクリニックでは、一般内科・循環器内科診療を行っています。
胸の痛みは、心臓病などの循環器系疾患が原因のケースも少なくありません。
循環器系疾患に対しては、できるだけ早期に循環器内科を受診することが重要です。
- 心電図検査: 心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や心筋の異常がないかを確認します。数分で終わる体に負担の少ない検査です。
- 胸部レントゲン検査: 心臓の大きさや形、肺に水がたまっていないかなどを確認し、心不全や呼吸器の病気の兆候を調べます。
- 胸部CT検査: 体の輪切り写真を撮影することができます。肺気胸、肺気腫、肺炎などの肺疾患であったり、その他の胸の痛みの原因を調べることが可能です。
- 血液検査: 貧血の有無、甲状腺機能、電解質・腎機能などの一般検査、心臓への負担を示すマーカー(NT proBNPなど)、心筋障害があると上昇するトロポニンなどを調べ、全身の状態を把握します。
- ホルター心電図検査(24時間心電図): 小型の心電図を装着し、日常生活での心電図を記録します。普段は出にくい不整脈や、夜間・早朝の不整脈を捉えることができます。24時間から最大7日間の記録が可能です。
- 心臓超音波検査(心エコー): 超音波を使って心臓の動き、弁の状態、心臓の大きさなどをリアルタイムで観察します。心臓のポンプ機能や弁膜症の有無などを詳しく評価できます。(予約制となっています。)
これらの検査を組み合わせて行うことで、胸の痛みの正確な原因を探り、適切な治療方針を立てることが可能になります。
気になる胸の痛みがある場合は、まずは、当院までご相談ください。
診察では、循環器系疾患に精通した日本循環器学会循環器専門医が胸の痛みの原因を探っていきます。入念な診察・検査を行い、それぞれの方に適した治療・ケア方法をご提案させていただきます。