不整脈ってどんな状態?命に関わることもあるの?|豊田市の内科、循環器内科|さなげクリニック

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不整脈ってどんな状態?命に関わることもあるの?



「不整脈ってよく聞くけど、いったい何?」

「不整脈になると、命を落とすこともあるの?」


心臓に見られる代表的な症状の一つ、不整脈(ふせいみゃく)。


不整脈、という言葉を聞いたことがあるものの、何なのかはよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。


不整脈とは、心臓の電気信号(電気系統)のエラーによる、不規則な脈拍です。


不整脈は、健康な方にも起こります。不整脈だからと言って、必ずしも、命に関わる訳ではありません。


ただし、不整脈の中には心室細動などの致死性のものも存在します。致死性不整脈から命を守るためには、普段からの脈の測定・心電図検査により、不整脈への対策&予防の心構えを持つことが大切です。


今回は、心臓の症状である不整脈について、メカニズム・種類・治療の必要性や検査方法をご説明します。


■心臓が動くメカニズム


不整脈についてご説明する前に、まずは、人間の心臓がどのように動いているのかをお話しします。


◎心臓は、心臓自身が作る電気信号によって動いています

心臓は、心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)という組織から作られる電気信号によって動いています。例えるなら、洞結節は、心臓を動かすための司令所です。


洞結節で作られた電気信号は、心臓に張り巡らされた刺激伝導系の特殊な心筋を伝って心臓全体に送られ、心臓が動きます。例えるなら、刺激伝導系の心筋は電気を送る送電線網です。


[心臓が動くメカニズム]


①心臓の上部にある洞結節で電気信号が作られる

②心臓に張り巡らされた刺激伝導系の心筋を伝って心臓全体に電気信号が送られ、心臓が動く(心臓が収縮し、拡張する動きをくり返す)


刺激伝導系の心筋=洞結節、房室結節、ヒス束、左脚・右脚(さきゃく・うきゃく)、プルキン工線維など


■不整脈とは


◎心臓を動かす電気系統のエラーです

心臓の洞結節や刺激伝導系が正常な状態を「整脈(せいみゃく)」と呼びます。整脈は心臓が規則正しく動き、一定のリズムで脈を刻んでいる状態です。


正常な状態である整脈に対し、生理的or病気などの原因により、電気信号を作り出す洞結節や電気信号を伝える刺激伝導系に異常(エラー)が起きる場合も。


心臓の電気系統にエラーが起き、以下のように、脈拍が不規則になることを総称して「不整脈」と呼びます。


[正常な脈拍と不整脈の違い]


・正常な脈拍(整脈)


1分間に50~100回。

規則正しく「トン・トン・トン・トン・トン」と脈を打つ。


・脈が速い(頻脈:ひんみゃく)<不整脈>


1分間に101回以上。


・脈が遅い(徐脈:じょみゃく)<不整脈>


1分間に50回未満。


・脈が乱れる(期外収縮:きがいしゅうしゅく)<不整脈>


「トン・トト・トン・トトン・トン」など、脈拍が不規則になる。


■不整脈の種類 不整脈は命に関わるの?


◎不整脈は健康な方にも起こる症状です すべての不整脈が命に関わる訳ではありません

脈が速く・遅くなったり、脈が乱れて不規則になる、不整脈。


不整脈、と聞くと、「命に関わるのでは」と心配になる方も。


不整脈は、健康な方にも起こります。すべての不整脈が命に関わる訳ではありません。


{健康な方に起こる「生理的不整脈」はどなたにも生じます}


健康な方に起こる不整脈とは、興奮したときや運動、発熱などによって生じる一時的な脈拍の乱れです。


健康な方に起こる一時的な脈拍の乱れを、「生理的不整脈」と呼びます。生理的不整脈は年齢や性別を問わず、どなたにも生じる不整脈です。


興奮・運動・発熱のほか、30歳頃を過ぎると、加齢によって脈が遅くなったり(加齢による徐脈)、脈が乱れることがあります(加齢による期外収縮)。加齢による徐脈・期外収縮も、生理的不整脈の一種です。


◎命に関わる「致死的不整脈」も

健康な方に起こる生理的不整脈のほとんどは、命に関わる心配はありません。


ほとんど心配がない生理的不整脈に対し、不整脈には、命に関わる「致死的不整脈」も。


致死的不整脈とは、発症すると即座に死につながる可能性が高い、怖い不整脈です。


致死的不整脈の代表的なものとしては、心室細動と心室頻脈の2つが挙げられます。


[心室細動とは]


心筋梗塞(心臓の冠動脈の詰まり)や心筋症(心臓を動かす筋肉(心筋)の異常)など、何らかの原因によって心臓の心室(血液を送り出す心臓のポンプ)が非常に速くブルブルと震える現象を心室細動と呼びます。


心室の電気系統の異常が原因の心室性期外収縮により、心室細動に移行するケースも。


心室細動は、ひとたび起きると心臓が正しく収縮しなくなり、死に至る可能性が高い致死性の不整脈です。


心室細動を起こすと、脳を含めた血液循環が正常に機能しなくなるため、通常、数秒~数十秒以内に意識を失います。


心室細動を起こした場合は、AED(自動体外式除細動器)や医療機関で迅速に処置をしないと、高確率で死に至ります。


[心室頻脈とは]


心室頻脈とは、心筋梗塞や心筋症など、何らかの原因により、1分間の脈拍が120回以上になった状態を指します。


心室の電気系統の異常が原因の心室性期外収縮により、心室頻脈に移行するケースも。


心室細動と並び、心室頻脈は致死性が高い不整脈の一つです。心室頻脈が起きたときは、まず、血圧が低下します。血圧の低下のほか、症状が進むと1分間の脈拍が200回を超えたり、脈拍を確認できない無脈拍心室頻脈になることもあります。


200回を超えるような脈拍・無脈拍心室頻脈が起きた場合は、AEDや医療機関で迅速に処置をしないと、高確率で死に至ります。


◎脳梗塞につながることもある「心房細動」にも注意が必要

心室の異常が原因で起こり得る心室細動・心室頻脈のほか、心臓の心房(血液を受け取る心臓の部屋)の不整脈の「心房細動」もあります。


心房細動は心房の位置から(心房は心臓の上部に位置)、上室性期外収縮に分類されます。


心室細動と心房細動は文字が似ているのですが、命に関わるか、という面では、心房細動は心室細動よりも致死率は低いです。


致死性が高い心室細動・心室頻脈と異なり、上室性期外収縮の心房細動は必ずしも命に関わる訳ではありません。


必ずしも命に関わる訳ではありませんが、心房細動が続くと心機能の低下によって血栓ができやすくなり、脳梗塞につながるケースも。心房細動が見られる場合は、血栓、および、脳梗塞に注意が必要です。


【普段から脈を測り、定期的に心電図検査・心エコーを受けましょう】


種類によっては命に関わることもある、不整脈。


心室細動・心室頻脈などの致死性の不整脈、および、脳梗塞につながり得る心房細動は、以下のような、様々な原因によって生じます。


[致死性不整脈&心房細動の主な原因]


・心臓病

・高血圧

・慢性の肺疾患

・ストレス

・睡眠不足

・カフェインやアルコールの摂り過ぎ

・不規則な生活


など


原因の中には病気以外の要素(ストレスなど)もあるため、これさえしておけば不整脈を防げる、という確立された予防法はありません。


確立された予防法はありませんが、ふだんから脈を測り、医療機関で心電図検査・心エコーを受けることで、心臓の状態を定期的にチェックできます。


心電図検査は保険で受けられます。医療機関で受ける各種の心電図検査・心エコーにより、心臓の動き方や心臓の状態(大きさ・厚み・弁の状態など)を確認可能です。


[心電図検査の種類と費用(自己負担:1割~3割)]


・心電図検査·················· 130円 (1割)390円(3割)

・ホルター心電図検査············ 1,750円(1割)5,250円(3割)

・心臓超音波検査(心エコー)······ 880円(1割)2,640円(3割)


ホルター心電図検査とは、携帯可能な小型の心電図を用い、日常の心臓の動きを記録する検査です。通常の心電図検査に加え、患者様によっては、ホルター心電図検査を行い、より詳しく心電図を記録する場合があります。


– 各種の心電図検査・心エコーを行っています –


当院では、上記の各種心電図検査・心エコーを行っています。


上記に加え、運動をしているときの心電図を記録する負荷心電図検査も実施しております。負荷心電図検査の内容や費用については、医師・受付までお尋ねください(保険での検査が可能です)。


致死性の不整脈や脳梗塞を防ぐため、普段から脈を測ると共に、定期的に医療機関で心電図検査・心エコーを受けましょう。


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