
■血圧の数値の見方を知り、健康管理に役立てましょう
健康診断や自宅での測定で「この数値は大丈夫かな」と気になった経験はありませんか?
高血圧も低血圧も自覚症状に乏しいため、数値を正しく読み取ることが健康管理の第一歩になります。
この記事では、血圧の基準値や数値が変動する原因に加え、2025年の高血圧管理・治療ガイドラインで重視されている家庭血圧の目標値や、薬物療法を検討する目安をわかりやすく整理しました。
■血圧の正常値と高血圧・低血圧の基準数値
◎正常血圧の基準と「正常高値血圧」「高値血圧」の意味
診察室での測定では、収縮期血圧(上の血圧)が120未満かつ拡張期血圧(下の血圧)が80未満であれば「正常血圧」とされています。
上が120〜129、下が80未満の場合は「正常高値血圧」に分類されます。正常の範囲内ではあるものの、将来的に高血圧へ移行するリスクを考慮して、早めの生活習慣の見直しが望ましい段階です。
また、診察室血圧で上が130〜139または下が80〜89の場合は「高値血圧」にあたります。まだ高血圧の診断基準には達していなくても、年齢や生活習慣、糖尿病・腎臓病・心臓病・脳卒中の既往などを踏まえ、将来の脳心血管病リスクを確認することが大切です。
◎高血圧のⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度の分類数値
高血圧は数値によって3段階に区分されます。
診察室血圧で
上が140〜159または下が90〜99なら「Ⅰ度高血圧」
上が160〜179または下が100〜109なら「Ⅱ度高血圧」
上が180以上または下が110以上なら「Ⅲ度高血圧」
に該当します。
ご自身の測定値と照らし合わせ、どの段階にあたるか把握しておくと、医師との相談がスムーズになるでしょう。
◎低血圧の基準と診察室血圧・家庭血圧の違い
日本では数値による厳密な低血圧の基準はありませんが、一般的に上が100未満の場合は「低血圧」と認識されています。高血圧のように明確な診断基準が定められているわけではありません。
血圧を見るうえで押さえておきたいのが、医療機関で測る「診察室血圧」と自宅で測る「家庭血圧」の差です。家庭血圧の基準は診察室血圧よりもそれぞれ5mmHg低い数値が目安となり、高血圧の基準は家庭血圧で135/85mmHg以上とされています。
病院でのみ数値が上がる「白衣高血圧」や、自宅でのみ高くなる「仮面高血圧」を見逃さないためにも、日々の家庭測定が有用です。朝と夜に測定し、数日〜1週間程度の平均を診療時に共有できると、より実際の血圧に近い状態を確認しやすくなります。
◎家庭血圧の目標値と内服開始を考える目安
2025年の高血圧管理・治療ガイドラインでは、降圧治療中の目標として、診察室血圧は130/80mmHg未満、家庭血圧は125/75mmHg未満を基本に考えることが示されています。従来よりも家庭血圧を重視し、日常生活の中で血圧を「見える化」しながら管理することが大切です。
内服を始めた方がよいかどうかは、血圧の数値だけでなく、脳卒中や心筋梗塞、心不全、腎機能低下などを起こしやすいリスクの高い状態があるかどうかも含めて判断します。
ここでいう「リスクが高い方」とは、たとえば糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、心筋梗塞・狭心症・心不全・脳卒中などの既往がある方、喫煙している方、脂質異常症や肥満を伴う方、尿たんぱく・心肥大・動脈硬化の進行など臓器障害が疑われる方などを指します。
このような方では、血圧が少し高い段階でも将来の脳心血管病につながる可能性があるため、生活習慣の改善と並行して早期に薬物療法を検討することがあります。
低〜中等リスクの方でも、生活習慣を見直したうえで1か月以内に再評価し、十分に血圧が下がらない場合は内服開始を検討します。自己判断で薬を始めたり中止したりせず、家庭血圧の記録を持参して医師に相談しましょう。
■血圧が高くなる・低くなる主な原因
◎高血圧の原因は生活習慣だけではない
高血圧の大半は「本態性高血圧」と呼ばれるタイプで、塩分の摂りすぎ・肥満・運動不足・ストレスといった生活習慣と遺伝的要因が複雑に絡み合って生じます。日々の忙しさから食事バランスが偏りがちなケースは珍しくありません。
一方で、腎臓の疾患やホルモン分泌の異常が引き金となる「二次性高血圧」も存在し、原因によって対応方針が異なります。自己判断で放置せず、医療機関へ相談されることをおすすめします。
◎「自覚症状がないから大丈夫」と思い込まないことが大切
高血圧は自覚症状がほとんどなく、「サイレントキラー」と呼ばれることもあります。
当クリニックでも、気づかないうちに血管への負担が蓄積し動脈硬化が進む点について注意を促しています。
動脈硬化は脳血管障害や心臓病といった合併症のリスクにつながる可能性があるため、「症状がないから問題ない」と過信しないことが肝心です。
健康診断などで数値の異常を指摘された場合や、家庭血圧で135/85mmHg以上が続く場合は、早めに受診をご検討ください。
◎低血圧を引き起こす原因と注意すべき症状
低血圧にはいくつかのタイプがあります。
特別な疾患が見当たらない「体質性低血圧」、立ち上がった瞬間に血圧が急に下がる「起立性低血圧」、食後に血液が消化器へ集中して生じる「食後低血圧」が代表的です。
めまいや立ちくらみ、慢性的なだるさが続いて日常生活に支障が出る場合は、背景にある原因を確認するためにも受診を検討しましょう。
■よくある質問
Q. 家庭用血圧計はどのようなものを選べばよいですか?
手首や指先で測るタイプよりも、上腕(二の腕)にカフを巻いて測定するタイプのほうが安定した数値を得やすく、一般的に推奨されています。
Q. 血圧を測るのに適したタイミングはいつですか?
朝起きて排尿を済ませたあと、朝食や服薬の前に1回、夜寝る前に1回の計2回が理想的とされています。測定前は1〜2分ほど座って安静にし、毎回同じ条件で測り記録を残しておくと、変化を把握しやすくなります。
Q. どのくらいの血圧なら薬を始めた方がよいですか?
診察室血圧で140/90mmHg以上、家庭血圧で135/85mmHg以上が続く場合は、高血圧として治療を検討する目安になります。
2025年のガイドラインでは、降圧目標は原則として診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満とされています。
糖尿病や慢性腎臓病、心臓病・脳卒中の既往、喫煙、脂質異常症、臓器障害などがある方は将来の脳心血管病リスクが高くなるため、より早い段階で内服を含めた治療方針を相談することが大切です。
Q. 健診で血圧が高いと指摘されましたが、自覚症状がありません。受診したほうがよいですか?
血圧の異常は自覚症状がないまま進行するケースが多いため、指摘された時点で内科や循環器内科への相談をおすすめします。当院でも高血圧などを含めた生活習慣病の診察を行っております。お気軽にご相談ください。
