健診で心房細動の疑い、症状が軽くても放置で脳梗塞に?受診の目安|豊田市の内科、循環器内科|さなげクリニック

愛知県豊田市井上町4-141

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健診で心房細動の疑い、症状が軽くても放置で脳梗塞に?受診の目安

健診で心房細動の疑い、症状が軽くても放置で脳梗塞に?受診の目安

健診結果の「心房細動の疑い」、動悸が少ないときの考え方


健診の心電図で「心房細動の疑い」と書かれていても、動悸は時々ある程度。仕事も畑も続けられているなら、受診はつい後回しになりがちです。ただ、心房細動と脳梗塞の関係は、症状の強さとは切り離して考える必要があります。受診を考えるきっかけは、症状の強さではなく「指摘を受けたこと」です。血栓ができる仕組みから検査、薬、救急要請の目安まで順に整理します。


この記事の要点まとめ


  • 心房細動は症状が軽くても脳梗塞に関係する場合があり、健診で疑いを指摘されたら循環器内科へ相談しましょう。
  • 診断には心電図やホルター心電図などを用い、発作性の場合は受診時の心電図に現れないこともあります。
  • 抗凝固薬は脳梗塞リスクや出血の懸念を踏まえて検討されます。顔・腕・言葉に急な異変があれば119番へ。

目次



心房細動を放置すると、なぜ脳梗塞につながるのか

心房細動を放置すると、なぜ脳梗塞につながるのか

心臓にできた血栓が脳の血管を塞ぐまで


心房細動では、心臓の上側の部屋(心房)が細かく震えるように動き、規則正しく収縮できなくなります。その結果、血液の流れがよどみ、特に「左心耳」と呼ばれる袋状の部分に血のかたまり(血栓)ができやすくなります。この血栓がはがれて血流に乗り、脳の血管に詰まると脳梗塞が起こります1。心臓から流れてきた血栓は太い血管を突然塞ぐことがあり、症状が広い範囲に及ぶ場合もあります。


「動悸が少ないから大丈夫」という誤解


動悸をはっきり感じる方もいれば、ほとんど自覚しない方もいます。60代以降では、健診の心電図で初めて見つかるケースも珍しくありません。自覚症状の強さと脳梗塞のリスクは比例するわけではありません。症状が軽いことが、血栓のできにくさを意味しない点に注意が必要です。


脳梗塞リスクの数値と、個人ごとのリスクの見方


心房細動があると、脳梗塞のリスクは一般に高くなるとされます。ただし、これは集団でみた傾向で、個人の予測値ではありません。医療機関では、心不全・高血圧・75歳以上・糖尿病・脳梗塞の既往などを点数化するCHADS₂スコアなどを使い、一人ひとりのリスクを見積もります。メタボリックシンドロームや睡眠時無呼吸も心房細動との関連が指摘されており、あわせて確認していきます。


健診で「心房細動の疑い」と言われたら、何を調べる?

健診で「心房細動の疑い」と言われたら、何を調べる?

健診の結果はあくまで「疑い」の段階で、診断が確定したわけではありません。医療機関で改めて心電図を確認するところから始まります。


心電図で、その時の脈の乱れを確認する


12誘導心電図は、横になって数分ほどで記録できる検査です。心房細動では、規則的に現れるはずの小さな波が消え、心拍の間隔がばらばらになるという特徴があります。ほかの不整脈や、心臓に負担がかかっている兆候がないかも同時に確認します。ただ、心房細動が出たり止まったりする「発作性」の場合、記録したその時に脈が整っていれば異常が写らないこともあります。受診時の心電図が正常でも、それだけで心配ないとは言い切れません。


時々起こる脈の乱れをホルター心電図で調べる


そこで役立つのがホルター心電図です。小型の記録器を胸に付け、通常は24時間(当院では最大1週間測定できるホルター心電図を使用することもあります)、仕事や家事、睡眠中も含めて心電図を記録し続けます。本人が気付かない時間帯の心房細動を捉えられる場合があります。記録中は、動悸や息切れを感じた時刻と、そのとき何をしていたかをメモしておきましょう。症状と心電図の変化を照らし合わせやすくなります。必要に応じて、心臓超音波検査で心臓の大きさや動きも確認します。


脳梗塞予防の薬は必要?畑仕事での出血が心配なとき


抗凝固薬の役割と、服用中にも残る脳梗塞リスク


抗凝固薬は血液を固まりにくくし、心臓の中で血栓ができるのを抑えるための薬です。リスク評価の結果、脳梗塞を防ぐ利点が出血の懸念を上回ると判断された場合に処方が検討されます。ただ、薬を飲んでいればリスクがゼロになるわけではありません。脳梗塞を経験した心房細動の患者さまを対象とした解析では、抗凝固薬の服用中にも再発が一定の割合でみられたと報告されています2。血圧や血糖の管理、定期的な受診を続けることが、薬と並ぶ予防の柱になります。


けがをしやすい作業と出血の心配を医師に伝える


抗凝固薬の主な副作用は出血です。鼻血や歯ぐきからの出血、あざができやすいといった比較的軽いものが多く、頻度は低いものの消化管出血や脳出血など重い出血が起こることもあります。刃物や農機具を使う、足場の悪い場所で作業するといった生活の様子は、処方を考えるうえで大切な情報です。過去の出血や、痛み止めなどの併用薬もあわせて伝えてください。出血が気になっても、自己判断で薬を中断しないでください。中断によって血栓ができやすくなることがあります。なお、脳梗塞を起こした後にいつ服用を始めるかは、梗塞の大きさなどを踏まえて個別に判断されます3。


薬以外の治療が検討されるのはどんな場合?


カテーテルアブレーションは、心房細動の原因となる異常な電気信号を断つ治療です。脈の乱れに対する治療のため、受けたからといって抗凝固薬が不要になるとは限りません。出血しやすく長期の服用が難しい方には、左心耳をふさぐ左心耳閉鎖術が専門施設で検討される場合があります4。


健診後の受診と、突然の異変で救急車を呼ぶ目安


顔・腕・言葉の異常が突然出たら救急要請


脳卒中(脳梗塞など)の重要な初期症状を素早く見極めるための4つのポイントの頭文字をとったFASTという言葉あります1。


  • 顔(Face):片側の口元が下がる、顔がゆがむ
  • 腕(Arm):片方の腕や脚に力が入らない、しびれる
  • 言葉(Speech):ろれつが回らない、言葉が出てこない
  • 時間(Time):症状が始まった時刻を確認し、すぐ119番へ

脳梗塞の治療は、発症からの時間によって選べる方法が変わります。自分で運転して病院へ向かうのは控え、救急車を呼んでください。このサインと対応を、ご家族とも共有しておくと安心です。


症状が消えても放置しない――一過性の異変


言葉や手足の異常が、数分から数十分で治まることがあります。これは一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があり、その後に脳梗塞を起こす場合があるため、様子を見ずにすぐ医療機関へ連絡してください1。


愛知県・豊田市で健診結果を相談するとき


急な神経症状がなければ、健診結果の用紙、お薬手帳、脈の乱れを感じた日時と状況のメモを持って、早めに循環器内科へ相談しましょう。愛知県にお住まいで、仕事やご家族の通院の付き添いと予定を調整しながら受診する方は、通いやすさも医療機関選びの目安になります。心電図やホルター心電図は保険診療で、3割負担の場合の検査料は約500〜6000円程度が目安とされます。実際の費用は検査の内容や医療機関により異なり、受診先の医療機関で診察のうえ案内されます。受診先の受付時間などは事前に確認し、健診の用紙が手元にあるうちに、受診日の候補を決めておきましょう。


よくある質問


Q. 不整脈の中で、特に注意が必要なのはどんなものですか?


A. 心室細動のように心臓のポンプの働きが止まってしまう不整脈は、すぐに救命処置が必要です。心房細動はそれ自体ですぐ命に関わることは多くありませんが、脳梗塞や心不全との関連があるため、放置せず受診して評価を受けることをおすすめします。


Q. 脳血栓とは何ですか?


A. 脳の動脈硬化が進み、血管の中で血栓ができて塞がるものを「脳血栓症」と呼びます。心房細動のように心臓でできた血栓が流れてきて詰まるものは「脳塞栓症」と呼ばれ、どちらも脳梗塞に含まれます。


Q. 脳梗塞を放っておくとどうなりますか?


A. 血流が途絶えた状態が続くと脳の組織が受けるダメージが広がり、手足の麻痺や言葉の障害などが残る可能性があります。疑わしい症状があれば、時間を置かずに救急車を呼んでください。


Q. 心筋梗塞は一度なるとどうなるのですか?


A. 心臓の筋肉の一部が傷むため、その範囲によっては心不全や不整脈につながる場合があります。再発予防のために服薬や血圧・脂質などの管理、心臓リハビリテーションを続けることが一般的です。


Q. 健診で指摘されたものの、再検査の心電図は正常でした。もう受診しなくてよいですか?


A. 発作性の心房細動は、検査のタイミングによって写らないことがあります。動悸を感じる時がある場合などは、ホルター心電図などの追加の検査が必要かどうか、医師に相談してください。


参考文献


1. 一般社団法人 日本神経学会. https://www.neurology-jp.org/

2. McCabe JJ, Cheung Y, Foley M, et al. Residual Risk of Recurrent Stroke Despite Anticoagulation in Patients With Atrial Fibrillation: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Neurology. 2025. PMID: 40394992 / DOI: 10.1001/jamaneurol.2025.1337

3. Palaiodimou L, Stefanou MI, Katsanos AH, et al. Timing of oral anticoagulants initiation for atrial fibrillation after acute ischemic stroke: A systematic review and meta-analysis. European Stroke Journal. 2024. PMID: 38742375 / DOI: 10.1177/23969873241251931

4. Oliva A, Ioppolo AM, Chiarito M, et al. Left Atrial Appendage Closure Compared With Oral Anticoagulants for Patients With Atrial Fibrillation: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. Journal of the American Heart Association. 2024. PMID: 39119987 / DOI: 10.1161/JAHA.124.034815


杉浦 由規

歯科医師


さなげクリニック

院長

杉浦 由規

▶ 監修者プロフィール

経歴
愛知医科大学 卒業
名古屋大学医学部附属病院循環器内科
小牧市民病院にて初期研修
大同病院循環器内科
小牧市民病院循環器科
トヨタ記念病院循環器内科
中東遠総合医療センター循環器内科
さなげクリニック 院長
資格・所属学会
資格
医学博士
日本内科学会認定内科医/総合内科専門医
日本循環器学会循環器専門医
日本救急医学会救急科専門医
日本心血管インターベンション学会認定医
日本心エコー図学会心エコー図専門医
SHD心エコー図認証医
日本超音波医学会超音波専門医
産業医
心臓リハビリテーション指導士
緩和ケア研修会修了
心不全緩和ケアトレーニングコース修了
植込み型除細動器(ICD)/ペーシングによる心不全治療(CRT)研修証
所属学会
日本内科学会
日本循環器学会
日本救急医学会
日本心血管インターベンション学会
日本心臓リハビリテーション学会
日本心エコー図学会
日本超音波医学会
日本不整脈学会
日本集中治療医学会